被災地体験談②

                     小池宏美

も望月さんは週に2,3回被災地を訪れています。
冬になり、いくらか時間ができたので一緒に仮設住宅に連れていってもらいました。
望月さんと訪れる三陸では、徐々に片付いていく被災地の現状を聞きながら、いつもとても複雑な気持ちになります。
その一方で元気な人達と出会えるので、とっても暖かい気持になって帰ってきます。

11月の終わりには、探検部後輩の小倉くんが育てたリンゴを仮設に住む人達に届けるために出かけました。
一軒一軒、ドアを叩いて「青森のリンゴ食べてください」と手渡していきます。おばあちゃん達は「本場のリンゴだね」とか「わざわざ持って来てくれたんだ」と喜んでくれました。

12月中ごろには、六ヶ所村の「花とハーブの里」菊川さんが育てたチューリップの球根を仮設住宅の近くに植えにいきました。
太平洋側なのに小雪の舞い散る寒い日だったけど、おじいちゃんおばあちゃんがいっぱい着こんで出てきてくれました。あらかじめ望月さんが伝えておいたので、花壇を耕して待っていてくれたようです。
 慣れない私の鍬さばきを見て、「そんなんじゃだめだよ、貸してみな」と働きだしたり、「草ばっかり生えるから毎日草取りしてたんだよ。お花があったらいいなと思っていたんだよね。」と大歓迎。
菊川さんが大事に育てた球根は種類もさまざま、すごい数(6000個以上)を一気に植えました。

みんなで「きっと豪華に咲くよ。楽しみだね〜」「花が咲いたら名物になるかもね。」と話題は絶えませんでした。
 さらに球根はプランターに植えてもらうよう手渡ししました。
菊川さんの「無農薬のチューリップだから食べても大丈夫」という話にはみんなびっくり、笑顔がひろがります。咲いたら見に行かなくちゃ。

昼は、仮設のお宅に上がりこんで、手作りの沢庵・干し柿などごちそうになりました。
そこで一人暮らしの方が言ってました。「今までずっとお世話になるだけだったけど、仮設に入るとお茶を出せるのがうれしい。」そっか御馳走になるのも喜ばれるのか。
最後に「私達を見捨てないでね。また来てくださいね」と言われて、当たり前のように「また来ます」と答えていました。

設には訪問者も多く、「もううるさいからほっといてくれ」と居留守を使う人もいると聞きます。
実際私が行った時も、宗教の勧誘の人らしき姿も見ました。
望月さんがそれでも個別訪問するのは、寂しくてどうしようもない人や何もすることが無い人(特にお年寄り)が、たくさんあの狭い部屋に閉じこもっているからだそうです。
そういう一人一人に声をかけ、外に出てきて、周りの人とお話しする機会をつくるために行っていると話してました。
そして一番の楽しみは ばあちゃん達のお話やお茶っこ飲みなんだそうです。

1月には、キノコの菌をホダ木に植える作業を仮設でみんなでやるそうです。
仮設で希望者を募って、温泉日帰りツアーも企画しているそうです。
それから、エコバックに刺繍とかひと手間加えて販売する作業も、仮設のおばちゃん達と始めるそうです。
できたら是非、分けて欲しいなあと思っています。